たのべたかおです。

私は「防衛費やアメリカへの軍事協力費を子育てや介護などにまわす!」と訴えています。

そうすると、「中国や北朝鮮などの脅威が増し、国際情勢が悪化する中、日本の防衛はどうなるのだ!」というご意見をいただくことがあります。

そこで今回は、「国際情勢の悪化」について考えてみたいと思います。本当に悪化しているのでしょうか?

かつて、1950年には北朝鮮と韓国との間で戦争が起き、約3年間続きました。その後も、アメリカとソビエト連邦は「冷たい戦争」の状態にあり、軍拡競争を繰り広げていました。お互い3万発とも言われるほどの多量の核兵器を持ち、にらみ合っていたのです。中国も1978年に改革開放政策が始まるまでは、いわば閉ざされた国でしたし、外国を攻撃したこともありました。1979年に起きた中国とベトナムとの戦争です。

この間、日本はずっと「専守防衛」を堅持し、「個別的自衛権」で対応してきたのです。
「集団的自衛権」が必要なのか、そこまで国際情勢が悪化しているのか理解に苦しみます。

現在の「国際情勢」を詳しく見てみましょう。

北朝鮮では確かに独裁体制が続き、ミサイル発射を続けています。しかし、北朝鮮がもし攻めてきたら、「個別的自衛権」で対応できます。「個別的自衛権」でも現在の日米安保条約によりアメリカは日本を助けます。燃料が足りなくて停電してばかりいる、国民の食料も十分でない国が、近代的な物量戦争を長期で戦える力はありません。
また、北朝鮮の支配層にとって、自分たちの支配を続けることが最大の目的だと推察できます。自ら戦争を起こし、体制を危機にさらすでしょうか。そうは思えません。

もし北朝鮮がテロや日本攻撃を起こすとしたら、日本海側の原発を狙うのが一番効果的です。安倍政権は集団的自衛権よりも原発防衛を強化すべきです。

では中国の「脅威」はどれほど大きいものでしょうか。中国の軍事費の増加はしていますが、2015年の軍事予算を見てみると、中国は145億ドル。これに対しアメリカは597億ドルで日本は41億ドル、合計すると中国の約4倍とはるかに大きな差があります。しかも中国はアメリカ本土の近くに軍事基地は持っていませんが、アメリカは中国の近くに日本という軍事基地を持っています。核弾頭の数もアメリカは7300、中国は250といわれています。桁が違います。
中国の側から見れば、日米同盟の方がはるかに脅威だと言えます。新しい安保法がなくても、中国は簡単には攻め込むことはできません。自分が負ける可能性の方が高いのです。

そもそも、中国に日本を攻撃するメリットがどこまであるでしょうか。
中国国内には多くの日本企業が進出し、中国の輸出製品を作っています。日本からの部品も多く輸入しており、日本との良好な関係なくしては中国経済は機能しません。東日本大震災の時に日本の部品が入らずに中国は大きな打撃を受けました。中国が日本を攻撃すれば、自らの首も絞めることになります。13億人の人間を食べさせていく経済が麻痺するからです。

私は、「個別的自衛権」で日本を守ることは十分にできると考えています。武力をこれ以上増強するよりも、近隣諸国との経済関係や国際交流をより深化させていく方が、はるかに安全保障に役立つと思います。

心配なのは、偶発的な紛争が、両国国民も意地や熱狂的愛国心によって本格的な戦争に発展することです。だからこそ、日本は平和主義のもと冷静になっておくことが、必要なのです。

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