これまでTPPの農業への悪影響について書いてきました。しかし、不安は農業分野だけではありません。TPPは、国民生活の多くの分野で危険な事態が起きる協定です。
政府は説明不足。国会で示された、表題以外すべて黒塗りの資料が示しています。本当に交渉成果が上がった協定であれば、これほど隠しはしないはずです。
どれほど多くの分野の協定項目があるのか、政府のTPP対策本部がHPで発表している「環太平洋パートナーシップ協定の概要」という資料の目次を見てみると••••
「ルール分野の概要」という章には、 ざっと拾い上げただけでも、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、投資、国境を越えるサービスの貿易、金融サービス、電気通信、政府調達、知的財産、労働、環境、競争力及びビジネスの円滑化、中小企業、紛争解決など、実に多くの項目で取り決めがされています。
これはTPPという多国間のルールですから、すべて日本のために考えられたルールではありません。だから、他国に合わせて、日本のルールが変わる、変わってしまうこともあるのです。
TPPでは、各分野で次のような懸念の声が聞こえます。多くは日本のルール、規制の変更への懸念です。
・遺伝子組換え食品の基準がアメリカ並みになるのでは?
・成長促進剤が与えられた牛や豚の肉が輸入されるのでは?
・除草剤や収穫後に使われる農薬の使用基準や表示基準が緩和されるのでは?
・薬の特許期間が延びジェネリック薬が発売されないので、新薬の価格が高いままとなるのでは?
・国民皆保険制度も危なくなるのではないか?
・国際企業が現地政府の規制などを「貿易障害」だと訴えることのできる制度であるISD条項というが利用され、日本の環境を守る規制が壊されるようなことが起こるのではないか?
TPPの発効により、日本のルール、規制が変更になると、こうした問題が起こる可能性が十分にあります。
他にも多くの疑問点や課題が交渉を終えた現時点でも多く残されているのです。
政府・安倍政権は、TPPが国民に説明出来ないほど国益を損なうものだと、実はわかっています。
交渉の失敗を認めない自民党。
参院選でTPPを争点としないために、自ら先送りしようとしています。
多くの危険な協定項目から国民生活を守るためにも、参院選で与野党の議席を逆転させ、TPPの承認を阻止しなければならないのです。
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