これまでも、TPPと農業への影響について少し書かせていただきましたが、今一度、私の農業への考え方を整理したいと思います。

一部の意見として、「日本は工業製品を輸出し、食料は安く外国から輸入すればいい」「日本の農業の国際競争力は低い、もっと高めなければならない」「農家は生産性の向上に努力すべきだ」「だからTPPは進めるべきだ」との声もあります。

しかし、「食料は外国から安く輸入すればいい」は、ふと将来を想像してみると、危険ではないでしょうか?

1960年生まれの私が幼い頃に覚えていた世界の人口は確か35億人でした。しかし、今やおよそ73億人と倍増。国連の予測では、2050年までに97億人になるとされています。

日本では人口は減少しても、世界全体では、これだけの多くの人の食べる食料が必要になるのです。しかし、地球の自然資源は有限。世界の農地や水は限られています。

食料危機は目の前にあり、いずれ農産物が高騰する時代が来ると私は思っています。

実際にマグロなど水産物も世界の中で争奪戦が起き、すでに値上がりしています。

外国に食料を頼っていては、将来、日本での食料不足が必ず起こります。その時になって荒廃した農地や少なくなった農家をもとに戻そうとしても間に合いません。

 

日本の農産物の価格は世界の中で「高い」でしょう。しかし、物の値段は大きく変動するものですし、世界の市場の中で決められます。世界の食料の値段が上がれば、日本の農産物の競争力は高まることになります。そんな日が来るのは20年、30年先だと思いますか?私はもっと近い将来、10年以内には世界の食料価格は確実に上昇していると思います。

「食料」は命に直結しています。

食料の競争力は将来の世代のために長期的に考えなければならないと思います。

 

「日本の農家の生産性は低い」、「補助金を出さないと農家の経営が成り立たないなんて甘い」という声も耳にします。しかし私は、農業の生産性は不当に低く評価されていると思います。

農業における「生産性」とは絶対的なものではなく、市場価格の中で相対的に決まるものです

つい少し前まで2万台だった米価が今や1万円を切っています。不当に低くなった米価をもとに生産性が低いと農家を責めるのは間違いではないでしょうか。

そもそも、農業の「生産性」には特殊な要素が多くあります。農作物が育つには時間がかかる。田畑にも限りがある。

でも、農業の生産性は地球環境から見て高いものがあるのです。太陽エネルギーで効率的に生産しているじゃないですか。何しろ太陽エネルギーは「クリーンなエネルギー」そして、「タダ」です。

農業は、太陽と土のめぐみを受け、命をつなぐ食べ物を作る大事な産業です。アメリカでもヨーロッパでも農家に多額の補助金を出しています。私は適切な保護と適切な競争で日本農業を守ります。

農家を守るためではく、私たちの食を守るために!