空が青い季節になりました。しかし、その空に北朝鮮のミサイルが飛びました。核実験も再び行われました。

こうした事態が続くことをなんとか止めなければなりません。でも、武力による「圧力」だけで本当に解決するのでしょうか。

ニュースによれば、ドイツのメルケル首相は、国際社会が連携した圧力をかけることに言及するとともに、「平和的外交努力による解決しかありえない」と話しています。確かにそうだと思います。

北朝鮮のミサイル発射は到底許すことはできませんが、相手に側にあえて立って考えれば、軍事超大国のアメリカを相手に通常兵器では到底かなわないだけに、核とミサイルに頼るしかありません。もともと北朝鮮がミサイル開発を本格化させたのは、イラク戦争以降です。イラクのようにアメリカの力で体制を壊されることを恐れたからだと考えられます。軍事力による圧力を強めても、向こうは一層かたくなになるばかりではないでしょうか。実際、ずっと圧力をかけ続けてきたはずなのに、ミサイル発射は続いています。圧力や威嚇の応酬はエスカートし、偶発的な軍事衝突やミサイル暴発を招く可能性もあります。

北朝鮮がミサイル開発をしているのはアメリカへの対抗のためです。もしアメリカとの間で戦争状態となったら、日本の米軍基地が当然狙われます。日本に被害が及びます。マスコミに登場する軍事専門家の誰一人として「迎撃ミサイルで完全に防げる」とは言っていません。

8月29日に発令されたJアラートは栃木県含め12の道と県に一斉に周知されました。それだけ広範囲の予測しかできないのでは、防ぎきれません。頑丈な建物に隠れることや、頭を抱えて身を低くすることで安全なわけがありません。

だから、メルケル首相の言うように、「発射させない外交努力」しか「解決策はない」のではないでしょうか。アメリカ国内でも、マティス国防長官は、「外交的な解決から手を引いたわけではない」と話しています。

心配なのは日本の報道です。脅威を煽りすぎていると感じます。「対話」が「譲歩」であるかのような一部報道がありますが、こうした伝え方は冷静な対応を損なうものです。「対話」は「外交」であり、北朝鮮の行為を容認するものではありません。過去に戦争を煽ったマスコミは、今こそ冷静に事実を伝えるべきだと思います。