宇都宮美術館で開かれている展覧会「石の街うつのみや〜大谷石をめぐる近代建築と地域文化」に行ってきました。

中でも、大谷地区にある神社の展示が興味深いものでした。大谷ならではの神々の物語がありました。

ひとつは、大谷の中心の岩山のふところに抱かれた「大山阿夫利神社(おおやまあふり)」。御祭神は大山津見神(おおやまつみのかみ)で、この神様はあらゆる「山の神」の最高位であると同時に、「水の神」「田の神」でもあるそうです。つまり大谷の山と里に豊かさをもたらす神です。石山の安全を願う神でもあります。

もうひとつは、「立岩神社」。御祭神は「石析神(いわさくのかみ)」と「根析神(ねさくのかみ)」で、この一対の神は、山の石と木々の根っこを切り開いて、人々が暮らす場所を作った神だそうです。

この二神を祭神とする神社が栃木県には大変多いとのこと。人間は太古から土地の恵みに感謝し、土地のエネルギーをいただきながら暮らしてきたことがわかります。

入場してすぐのところに、この神様の展示があり、また大谷石の成り立ちの展示があります。大谷石はおよそ1500万年前の火山活動でできた石で、噴火のエネルギーが封じ込められた石であることもわかります。

この二つの展示の後に、この土地の恵みである石を切り出し、人間が営々となりわいを築いてきた歴史や、美しい建物の展示が続きます。神話の続きのように興味深く見ることができました。

大谷の風景を描いた絵画の展示も。これも採石や建築とは違う大谷の魅力を伝えています。

大谷石といえば、私も子供の頃からおなじみの石ですが、蔵や塀を作る建築資材としてしか見ていませんでした。様々な物語と美しさを感じるオススメの展覧会です。(3月5日まで)

image