見たことのない野菜が目の前に次々と…青菜とカブと大根を足しあわせたような野菜で、根の部分が下にふくれた形でなんとも可愛らしく、生き生きとして美味しそうに見えました。本来、いきもの、生物はみんな個性があって、すごく多様だと改めて感じることができました。私も子どもの頃に母の畑で見ていた野菜たちは個性があったと思い出しました。いつしか、野菜の個性を感じる場は稀になってしまっています。
野菜たちの個性はどこにあるのか--流通の過程で曲がったりサイズ外の野菜が省かれているのもありますね。例えば”人参”でも色々な種類があるのも分かっていますよね。もっと個性を求めると…”種(たね)”にたどり着くのです。
カブの様な野菜は、”固有種”。農家の方が日本の地域で伝えられてきた伝統野菜を有機で作り続けているものです。伝統の固有種を守るとともに、自分で毎年種を採取して栽培しているので、様々な新しい個性ある野菜も出てくるのだと農家の方に伺いました。野菜の世界のワクワクする話です。
この農家の方を囲んで”種”を学ぶ会は、1月26日に益子のヒジノワCAFÉ&SPACEで開かれました。ヒジノワCAFÉ&SPACEは、益子の「土祭/ひじさい」に携わった方々が、地域コミュニティの拠点としてボランティアで運営されているカフェ兼公民館的スペースで、ここ自体が古民家を改装した魅力的な場所です。この場所で、学級活動のように暮らしのことや地域のことを学びあおうという「ヒジノワホームルーム」の第1回テーマがこの在来種・自家採種の野菜でした。
日本で伝統的に作られている野菜は、たとえ原産国が海外のものであっても、長年の栽培によって日本の気候や土地に合うように改良され、味わいのあるものになってきたそうです。
大企業の市販している野菜の種は、病害虫に強くて均質な商品ができる点では確かに優れていますが、中には無理な品種掛け合わせをしているものもあり、その分野菜本来の旨味を失っているものもあると農家の方は言います。(調べてみて知りましたが、サラダに加工して流通するのに合うように辛味やみずみずしさを取り除いた大根もあるようです)
野菜本来の個性や旨味に出会うために、種を取り続けるそうです。しかし、自家採種の苦労は相当なもので、「夜も休めないぐらい」とも笑って話されていました。次に繋がる種を採るのは簡単なことではありませんよね。想像してとても納得しました。
農家の方のお話を聞いた後は、参加者で感想などを語り合う座談会。まさにホームルームの話し合いのような面白さがありました。陶芸家の方と同席しましたが、「いまの日本人は揃っていることを求めすぎ、違いを認めない。焼き物は一点一点必ず違うのに、B級品のように言う人がいて残念。野菜もそれぞれ違っていていい。人間もそうだと思う」という感想がとても印象的でした。今回は妻と参加し、貴重なお話と勉強をさせて頂きました。
この「ヒジノワホームルーム」。今後も月に1回のペースで開かれる予定だそうです。
詳しくはヒジノワHPページ http://hijinowa.net/gallery/
ヒジノワFBページ https://www.facebook.com/hijinowa/
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