アメリカ大統領選でトランプ氏が勝利しました。「想定外」「衝撃の結果」などの言葉が飛び交っています。
確かに私にとっても予想外と思うところがありましたが、トランプ氏の当選を生み出した「既成政治への怒り」は、想定外ではなく、当然のものであるという思いもあります。
トランプ氏はオハイオ州やノースカロライナ州など白人労働者の比率が高いところで勝利を収めました。こうした州ではグローバル経済の進展の中、仕事が失われ、経済格差が拡大し、自殺率は大きく上昇、治安も悪化しています。地域と暮らしの崩壊に直面している人々がトランプ氏を選んだのです。
いくらグローバル経済が進もうと、彼らはアメリカと自分の故郷、マイホームを離れるわけにはいきません。だから危険性を承知の上で「変化」を望んだのです。その気持ちは理解できるのです。
広がる経済格差と行きすぎたグローバル経済(新自由主義経済)から地域と暮らしを守りたい、と思うのは当然です。誰しもが富を増やせるわけではありません、世界の潮流に乗れるわけではありません。政治が自分たちを見捨てるのか、向かい合う気があるのかと問うた結果だとも思います。
アメリカがトランプ氏のもとで「内向き」になり、同時に、日本への要求が変わってくるとしても、それは日本にとっても、地域と暮らしのあり方を考え直す機会になると言えるのではないでしょうか。
例えば、TPPの取りやめの可能性が高まったことは、もともとTPPは自由貿易の効果よりも農業など地域経済への悪影響が大きいものだけに、かえって日本にとって歓迎すべきものです。
また、もしアメリカが軍隊駐留費の肩代わりを求めてきたとしても、日米同盟や防衛のあり方を再度検討する機会とすべきではないでしょうか。私は日米同盟は存続すべきだと思いますが、アメリカに追随し思考停止をしたまま防衛費や対米協力費用を増やしていくのではなく、日本として今後の防衛と平和の方策を考え直していくべきです。社会保障や年金など暮らしに回すお金と、配分をどうしていくべきか、どこまでアメリカに協力していくのか、国内で十分な議論が必要です。
アメリカが「変化」を選択し、日本にも変化を迫る時、日本は選択をしなければなりません。その選択は政治家はもちろん、国民も議論し、熟慮した結果であることを願うばかりです。
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