11月7日、宇都宮市内で開かれた過労死防止対策シンポジウムを聞きに行きました。「東京過労死を考える家族の会」の3人の方の実体験のお話もあり、深く考えさせるものでした。

同僚でもあり親友でもあった方を過労からきたうつ病による自殺で亡くした元システムエンジニアは、ご自分もうつ病を発症し、「友も私も入社時に思い描いた夢を全て失った」と話してくれました。納期厳守の中、注文の仕様の変更が繰り返され、すし詰めの作業環境の劣悪さもあり、精神的に追い詰められたとのことです。

就職したばかりの息子さんをバイク事故で亡くされたお母様は、追い詰められていった状況を切実に話してくれました。卒業の段階で多額の奨学金の返済を背負い、「試用期間」という名称の報酬の低い状態で働かざるをえなかったこと。やっと正社員になったという思いからやめるにやめられなかったこと。連日の深夜作業のため電車でなくバイクで通勤せざるをえなかったこと。そして、事故当日は22時間寝ないままでバイクに乗り、帰宅中の事故で亡くなったとのこと…
お母様が専門家に聞いたところでは、長時間眠らないで運転をすると、それは酒酔い運転のように危険な状態になるそうです。

また、小児科医の夫を17年前に過労による自殺で亡くした方は、医療機関のブラック状態は今も続いており、専門家の使命感に責任を転嫁している構造は続いていると話してくれました。今の政権が進めるいわゆる残業代ゼロ法案の導入などに「向いている方向が違う」、「命のための仕事ではなく仕事のための命の状態が続いている」と訴えています。

シンンポジウムでは、ワークライフバランスの改善に取り組む企業の取り組みの例や、過労死防止のための働き方の改革の話もありました。過労死の構造を変えるには、個々の努力に加えて、政治や経済、法規制のあり方そのものを変えていかなければならないと改めて感じています。

過労の状態では、「会社を辞めよう」「自分を1番に考えよう」「家族や友人に助けを求めよう」といった”判断”すら出来なくなります。働く仲間の、働く家族の過労のサインを見逃してはいけません。

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